25年ほど前、私が獣医師になって動物病院で働き始めた頃、今の当院とさほど変わらない札幌市内の住宅街に病院がありましたが、猫の来院の半分くらいは「喧嘩して傷が」とか、エイズや白血病など他の猫との接触で感染する病気だとか、そうした子がいましたし、「何日も猫が帰ってこない」なんて子もいました。
その後すぎうらペットクリニックを開業しましたが、15年くらい前にはほとんどの猫が室内飼育になり、純血種の猫もよく見るようになりました。予防注射を摂取し、フィラリア予防もして、さらに健康診断をする子もふえて、猫の健康管理は格段に良くなりました。
猫は病気を隠すので自宅で「体調が悪そうだ」となるまでには相当末期になってしまうことも多いのですが、健診によって早く病気を見つけることができるようになるなど、猫の寿命が格段に伸びる理由の一つにもなっています。
なぜ猫の定期検診が重要なのか?
私たちが健康診断を受けるように、猫たちも定期的な健康チェックが必要です。猫は非常に我慢強い動物で、病気や痛みを隠してしまうことが多いです。そのため、病気の兆候を見逃してしまうことが少なくありません。
定期検診で早期発見
定期検診を受けることで、以下のような病気を早期に発見できる可能性があります:
- 歯周病: 口の中の健康状態をチェックし、歯石除去や口腔ケアのアドバイスを行います。
- 腎臓病: 血液検査や尿検査を通じて、腎臓の機能をチェックします。早期発見で管理が可能です。
- 糖尿病: 血糖値のチェックを行い、必要に応じて治療計画を立てます。
- 甲状腺疾患: 特に高齢の猫に多い甲状腺機能亢進症を検査します。
- 心臓病: 聴診や超音波検査で心臓の異常を確認します。
健康診断の内容
当院で行う猫の健康診断では、以下のような項目をチェックします:
- 身体検査: 体重測定、体格、毛並み、皮膚の状態などを確認します。
- 血液検査: 血液の成分を調べ、内臓の状態や貧血などの有無を確認します。
- 尿検査: 尿の成分を調べ、腎臓や尿路の健康状態を確認します。
- 超音波検査: 内臓の詳細な画像を撮影し、異常がないか確認します。
- X線検査: 骨や内臓の状態をチェックします。
検診を受けるメリット
定期検診には、多くのメリットがあります。病気の早期発見だけでなく、普段のケアの方法や食事についてのアドバイスを受けることができます。これにより、愛猫が長く健康に過ごせるようサポートします。