口腔内疾患、特に歯周病を患っている犬や猫はたくさんいて、見ない日はありません。
その中には、口臭や歯の汚れが気になって・・・とか、歯が抜けて・・・といったご家族が口の異常に気づいて連れてきてくれる場合もあるのですが、それは口腔内疾患のごく一部。
ほとんどはそれ以外の理由(予防注射とか、消化器症状とか、耳がかゆいとか・・・)で来院された際の身体検査で見つかります。「結構歯が汚れてますね」というと「そういえば匂いも気になっていて・・・」とおっしゃられる方も多いため、ある程度臭っているのは仕方がないと思われてしまっている例も多いように感じます。
本来は犬や猫の口はあまりニオイがありません。特に直接口の中に鼻を近づけてニオイを嗅いだりしないのに「なんか臭い」と感じるようであればなにか口にトラブルがあることが多いです。ひどい場合は待合室にその子がいると病院の奥までニオイがしてくることもあります。それでも普段一緒に過ごしているご家族が気づいていない(気にしていない?)場合もあります。
診察で口腔内のトラブルを発見した場合、できるだけその状態をご家族にお見せしながらお伝えし、早期の治療をおすすめするようにしています。
口腔内の問題で最も多い歯周病は放置すると歯肉の退縮や顎の骨の溶解を起こします。しかしこの時点では犬や猫はご飯を食べるし口を気にする素振りもあまりしません。普段余り口の中を詳しく観察しないご家族が「おかしい」と気づいたり、痛みのせいで食欲が落ちたり食べにくそうにしたりするときはかなり進行した末期的な状態です。
上記のように歯周病は「顎の骨が溶ける」病気なので、進行してしまうと「元の状態に治す」事はできません。大切なことは「進行をできるだけ抑え」て「一生いい状態の歯で過ごすことができるようにする」ことです。
そのためには「顎の骨が溶ける前に治療する」事が必要です。つまりご家族が何らかの症状に気づくよりずっと早い段階で治療しないと間に合わない可能性が高いということです。
長くなってしまったので、実際にどのように診察・治療を勧めていくかは次回書くことにします。