猫では「歯に関連した病気」というと「歯周病」の他に「歯肉口内炎」とこの「吸収病巣」がよく見られます。
犬はほぼ歯周病なのに関して猫のほうが病気が複雑な印象です。また犬よりも口の中を見せてくれにくく、ご家族でも「頻繁に愛猫の口の中を覗いてる」という方は少ないのではないでしょうか。
「吸収病巣」はその中でも、見ても分かりづらい病気ではないかと思います。
このように、パット見ても分かりづらいかもしれません。歯の根元に一部赤いところがありますね。
実はこの部分、歯茎に隠れた下の部分で歯がもろくなり、穴が開いたような状態になっています。人間の虫歯のようなイメージですが、猫の吸収病巣は「虫歯菌」によるものではなく、破骨細胞という体の中の大切な働きを担う細胞が、何らかの原因で歯を壊してしまうことで起こります。「何らかの原因で・・・」と言っているように、詳しメカニズムは分かっていません。
この病気は見た目が地味な割に、痛みが強く食欲が落ちる原因となることがあります。
また逆に、気づかれないまま(いや、猫は気にしていたのではないかと思うのですが)いつの間にか歯の根元が折れて上の部分だけなくなってしまっていたりすることもあります。
上記のような歯に気づいたら、全身麻酔下で歯肉の下の確認や、レントゲン検査での顎骨と歯の状態の確認が必要です。残念ながら「治療」法はなく、必要な範囲で適切に抜歯をすることが対処法となります。