全身麻酔ってなんとなく心配・・・と思っている方が多いのではないでしょうか。
犬や猫では、人間では「じっとしていればできる」ような処置や検査でも全身麻酔が必要になることが多くあります。「全身麻酔は嫌」となるとできることが限られれてしまい、結果的に病状が悪化したり、高齢になってからより大掛かりな手術や麻酔が必要になったりして結局負担が増えてしまうことになりかねません。
「麻酔は危険」なのではなく、その子に麻酔をする上での情報がないことが危険です。
麻酔をする上で重要なのは、主に心臓や肺といった体に酸素を取り込んで全身に送るための機能や、肝臓や腎臓といった麻酔薬を代謝して体から排泄するための機能に問題がないかどうかになります。
心臓や肺の状態を確認するには身体検査と胸部レントゲン検査、必要に応じて胸部の超音波検査が有用です。
肝臓や腎臓の機能を確認するには血液検査が有用です。
そのため、全身麻酔の前には身体検査、血液検査や胸部レントゲン検査を行い、全身麻酔をする上で問題となるものがないかを確認します。歳を取るに従って臓器の予備能力や機能にも問題が出ることが多いので、年齢に応じて検査項目を増やしたり変更したりして、できるだけ正確に体の状態を確認するようにします。
どうしても麻酔前の検査に費用が手間が必要になってしまいますが、「心臓や肺、肝臓や腎臓が検査はしていないけど多分大丈夫だから麻酔してみましょう」というわけには行きません。
もし自分が麻酔をされる立場になったら、いきなりそうした検査なしで「多分大丈夫だから全身麻酔をします」と言われても心配になりませんか?「こういう検査をしましたが異常がなかったので全身麻酔をしましょう」となる方がいいですよね?
残念ながら「100%大丈夫」ということがないのが麻酔です。それでも少しでも安心できる可能性を100%に近づけておくことが大切です。万が一リスクがあれば「麻酔をしない」という選択肢も必要になるのですから。