膝関節の中にある「前十字靭帯」を痛める病気で、中〜高齢の犬で比較的よく見られます。
通常「関節」というと片側が窪んでいて、そこにもう一方がハマるような形のイメージではないかと思います。
しかし膝関節は脛の骨と太腿の骨が乗っかっているだけではまっていません。
そのままだとずれたり外れたりしてしまうので、いくつもの靭帯が上下の骨をつないでいます。
犬や猫が(人も)地面に足をつけて体重をかけようとすると、脛の骨が前にずれようとします。これを止めているのが前十字靭帯で最も大切な靭帯の一つです。
前十字靭帯を痛める原因は、「靭帯の劣化 + 負荷」です。多くは「加齢」あるいは「代謝性疾患」「肥満」などにより靭帯が弱くなったところに「ジャンプ」や「ひねり」などの負荷がかかって生じます。靭帯が弱くなっていればいるほど、大した負荷じゃなくても突然痛めてしまうこともあります。
前十字靭帯を痛めているかどうかの診断は、症状、年齢などの背景、念入りな触診、レントゲン検査などから行います。断裂してしまうような重度な損傷では手術をしないときちんと歩くことができるようにはなりません。
前十字靭帯を痛めた犬では、「歩き方がおかしい」にもかかわらず「家族があちこち触ってもいたがらない」と言う子もいます。でも、整形外科的な知識のある獣医師がきちんと触診をすれば、伊丹の場所を特定できることが多いものです。
「歩き方がおかしいけど痛がってないから」というご家族もいらっしゃいますが、「あるきかたがおかしい」時点で痛みや違和感を抱えていることがほとんどです。様子を見すぎてしまうと体重をかけられない足の筋肉はどんどん衰えてより体重を支えられなくなってしまったり、その反対側の足に大きな負担をかけることになってしまいます。犬は4本足なので1本痛めてもそれなりに歩くことができますが、足を2本痛めると歩けなくなってしまいます。
痛めないのが一番ですが、痛めたときに適切に対処してあげられるように、知っておいてください。膝が痛いのは人間でも辛いですよね。