当院に来院するワンちゃんの7割以上がいわゆる「高齢犬」と呼ばれる、およそ7歳以上の子たちです。
いつまでも若いと思っていた子もいつの間にかそれなりの高齢に、高齢だった子は立派な後期高齢犬に。残念ながら人が年をとった分だけ(実際に体の衰えはそれ以上の速さで)犬も年をとっていきます。いつまでも健康で過ごしてもらうために、いくつか注意園をあげておきます。
体温調整
高齢になると体温調節機能が衰え、暑さや寒さの感覚が鈍くなります。寝る場所は、温度変化の激しい場所は避け、温度が一定に保たれるところにベッドを置いてあげましょう。ただし、今の寒い時期温めすぎによる暖房器具での低温火傷に注意してください。一番いいのは「温かいところ」と「それほど暑くないところ」を自由に行き来できるようにしておいてあげることです。
ご飯
胃の消化・吸収機能が低下し、ご飯の栄養を吸収しにくくなります。そこでライフステージや体調・体重にきちんと合ったご飯を選ぶようにしましょう。定期的に健康診断を受けてその体の状態にあった食べ物を選ぶのもいいでしょう。病気によっては避けたほうがいい成分などもありますから、獣医師にご相談ください。食べやすくする工夫も必要です。高齢になると固いものが食べづらくなるので、お湯やでふやかしてあげたり、なるべく小さい粒の物を選んであげるようにすると食べやすくなります。また、飲水量も減ることから、カリカリだけでなくパウチやスープなども上手く活用して水分量も確保しましょう。
運動
高齢になると寝ることが多くなり、運動量が少なくなります。すると筋肉量も減り、ますます体を動かすのが嫌になって悪循環に。筋力を維持するためにも、お散歩を積極的に行くようにしましょう。筋力の維持だけでなく、外からの刺激を受けることが脳への刺激にもなり、認知症予防につながります。また、「立つ」「座る」に関する筋力低下により「立てなくなる」と、夜中にトイレに行きたいのに立てないよ〜と騒いだりするようになります。「立ち上がる」「座る」ための筋力を積極的に使うための屈伸運動が健康寿命を伸ばします。自分の足でできるだけ長くちゃんと歩けるほうが、犬も幸せですね。
もし足腰が弱ってきたら・・・「歩行補助ハーネス」など歩行をサポートするグッズもあるので、活用してみてくださいね。
トイレ
高齢になると、粗相をしてしまうことが徐々に増えていきます。いつものトイレ以外にも数か所設置してあげましょう。寝ている場所のすぐそばやよく通る場所に置いてあげると効果的です。家の中でトイレをしない子は、なるべくこまめに外に出すようにしましょう。トイレを我慢すると膀胱内に細菌が繁殖してしまい膀胱炎になる可能性があるので、なるべく我慢させないようにしてくださいね。
シニア期に入ったら、少しずつ愛犬の体調や年齢に合わせたケアをして、少しでも長く一緒に楽しく暮らせるように日頃から工夫をしてみてくださいね。