猫は実は心臓の病気が多く、ある調査では見た目上健康な猫の約15%が「肥大型心筋症」という心臓の病気だったとされています。20匹猫がいたら3匹が肥大型心筋症。結構な確率ですね。
そんなに病気っぽい猫はいない・・・と思いますが、実は猫の心臓病はちょっと厄介です。何故かと言うと・・・心臓が悪い猫のうち「見た目にはっきり症状がわかる」のはごく一部だから。多くの猫は心臓が悪くてもあまり症状を見せません。実際には「以前より寝ていることが増えた」「あまり遊ばなくなった」「高いところへ上がらなくなった」「走った後呼吸が荒い」「普段から他の猫より呼吸が早い」といった症状が出ていることが多いのですが、「なんとなく変だな」と思ってもそれで病院に行こうかどうかと考えてついつい様子を見てしまう程度の症状なのです。
では、心筋症で明らかにおかしな症状が出るのはどんなときかというと、「突然死」「口を開けて首を伸ばして苦しそうに呼吸をする(呼吸が止まる直前)」「後肢が麻痺して動かない(血栓症)」といった致命的な症状が出たとき。こうなると病院へ連れてくる間にも心臓が止まる可能性があって非常に危険です。
こうした症状が出る前に病気が見つかるのは、多くは健康診断のとき。身体検査で心臓の音の異常が聴取されて心臓の異常が疑われる場合もありますが、心臓の音が「正常」でも心筋症の場合があるのが厄介です。一番正確なのは心臓の超音波検査ですが、「健診」として実施するあるいは当院の場合は手術前の検査で4歳をすぎると心臓の超音波検査をすべて行いますがそういう機会がないとなかなか実施することの少ない検査です。
肥大型心筋症は6ヶ月齡〜20歳齢で報告されており、猫の種類ではメインクーンやラグドールでは遺伝が疑われて多く見られると言われています。しかし実際に一番多いのはいわゆる日本猫・ミックス・雑種猫です。
重篤な症状が出る前に見つかれば、心臓を長持ちさせていろいろな症状を出来るだけでないように治療していくことができます。是非一度健診を受けてみてください。