以前「毛玉を切っていたらどこかから出血して・・・」というレオンベルガーが来院したことがありました。歩き回っているそばから血液がだらだらと流れていました。病院に来て興奮しているのをお父さんに顔を抑えてもらい、スタッフに体をおさえてもらって長い毛を掻き分けてみますが、もともと毛玉を切ろうとしていただけあってすごい毛玉でなかなか皮膚を観察するところまでたどりつけませんでした。出血を抑えては毛を切って・・・という作業をしばし続けてようやく出血部位を特定。毛玉と一緒に耳の付け根の皮膚を4cmくらい切ってしまっていました。傷を圧迫止血し、局所麻酔を投与してから縫合。興奮していましたがお父さんの言うことをそれなりに聞いてくれたおかげで、傷を見つけてから止血まではそれほど時間がかからずに済みました。
毛玉を切っていて皮膚を切ってしまうということは犬でも猫でも時々あって、ビックリして病院に駆けつけたことのある方もいるかもしれません。犬や猫の皮膚は結構伸びるので、どこまで毛玉でどこまで皮膚かなかなか分かりません。先日も目の下の皮膚を薄くそぎ取ってしまったシー・ズーがいましたが、傷の具合に寄っては出血もほとんどしないので下手すると気づかないということもあります。とはいえ痛いですし、その後をなめたりこすりつけたりしてよりひどい傷になってしまうこともあります。あまりに毛玉がひどくなったらあきらめてトリミングのプロフェッショナルに任せてみたほうがいいかもしれません。