6月も下旬にさしかかりましたね。狂犬病ワクチンの接種がピークを迎えています。
そんな中、先日来院された方から「うちの子、もう10歳を過ぎたから狂犬病ワクチンを接種しなくてもいいだろうか」という相談を受けました。なんでもその方の近所では「高齢だから」という理由で「ワクチン接種をしなくてもいい」という噂があるようです。
「高齢だからうたない」という根拠を伺うと、「なんとなく歳だから心配」ということでした。
犬に狂犬病ワクチンを接種する理由は、「犬と生活する上での義務と定められているから」。
日本国内で狂犬病が発生した場合にも、流行して人間が困らないようにするためです。
ワクチン接種は(狂犬病ワクチンに限らず)ごく僅かにでも副反応の可能性があるもの。必要以上に接種する必要はもちろんありませんが、年1回法律に則って接種する必要があります。
ちなみに、「10歳を過ぎたから」ワクチン接種の負担が多いという根拠は何もありません(私の知る限り)。
高齢期の狂犬病ワクチン接種の副反応を心配するのであれば、例えば定期的に健診を受けて健康状態を確認しておくとか、歯周病を放置しないできちんと治療してあげるといったことのほうがずっと健康のためには必要なことです。
人間は「都合のいい情報だけを取捨選択しようとする」のだそうです。
・健康診断を受けたほうがいいですよ
・歯周病治療をした方がいいですよ
と言った情報よりも
・狂犬病ワクチンの接種をしなくてもいいらしいよ
という情報のほうが選ばれてしまうのは残念なことですが、犬や猫の健康のためにほんとうに必要なことはなんなのか、当院に来ていただいている方にはきちんとお伝えしていきたいと思います。
犬や猫と生活する上で「これ、どうなのかな」といった疑問がある場合は、ご来院の際にご相談下さい。