「胆嚢」は肝臓で作った「胆汁」という液体を流す排水路の途中にある袋状の場所。胆汁をためておき、胃や腸の動きと連動して胆汁を腸へ流し、消化の助けをしたり、不要なものを捨てたりしています。
健康診断や他の病気の検査で、この胆嚢に異常が見られることがあります。胆汁は本来サラサラとした液体なのですが、中の液体の性状がどろどろした泥状になったり、ゼリーのような塊でジャリジャリしたり、ひどいときは石のようにかちかちになってしまったりして、胆汁の流れを妨げることもあります。
胆嚢内の胆汁が上記のように変化する程度では、見た目に症状が出ることはありませんし、血液検査でも大きな異常が出ることは少なく、超音波検査をして胆嚢を見るとそうした変化が見つかります。この段階で食事管理やその他できることをしておくと、あまり進行せずに一生を過ごす場合も多く見られます。
しかし中には、経時的に変化を見ていくと超音波検査やレントゲン検査での見た目の変化や血液検査像の変化が出くるばあいがあります。そうなるとやがて肝臓に負担がかかって血液検査で異常値が出るようになったり、胆汁の排泄が滞って嘔吐・下痢・食欲不振といった消化器症状がでることもあります。
特に強い炎症が起きたり、胆嚢が破裂したりすると命に関わる重大な症状が出ます。この状態では手術をしても危険が高く、死亡することもあります。
胆嚢の疾患は、このような自体になる前にきちんと管理して必要に応じて先手を打って手術して胆嚢を切除するのがいいと言われています。こうした胆嚢の異常が見られる子は多くの場合肝臓にも何らかの異常を持っている場合があるため、同時に肝臓の組織検査を行って、肝臓の状態をきちんと確認しておくことも大切です。
このように、症状が出るよりずっと前から検査上の異常が見られる病気がたくさんあります。いわゆる「未病」と呼ばれる早期の段階で病気を発見できると、症状を出さずに過ごすこともできます。そのためには、元気そうに見える頃からの健康診断が大切です。
元気で病気には見えない子でも、気づかないうちに病気が進んでしまうことがあります。
健康診断は「健康を確認するもの」であるのと同時に、この未病の段階を早く見つけて治療し、病気を予防するためにするものです。当院では6歳までは年1回、7歳過ぎたら年2回をおすすめしています(病気や異常がある場合はこれよりも短い間隔で行います)。