昨日は去勢手術のためにチワワのRちゃんが来院。
Rちゃんは精巣が片方しか陰嚢に収まっていない、「潜在精巣」や「陰睾」と呼ばれる状態でした。精巣は胎児期にお腹の中にできて生後数ヶ月までの間に陰嚢へ移動していきますが、何かの拍子に移動がうまくいかないと途中に引っかかったように残ってしまいます。お腹の中にある場合と、お腹から出たところにある場合とがありますが、Rちゃんの場合は内股の「鼠径」と呼ばれるところに触ることが出来ました。
精巣は陰嚢の中に収まった状態が正常で、潜在精巣の場合には精巣が腫瘍化する可能性が高くなることがわかっています。その確率はお腹から出たところにある「皮下陰睾」で正常の5倍、お腹の中に残る「腹腔内陰睾」では正常の10倍にも達します。特に腹腔内陰睾の場合は精巣の形や大きさが外見からは全くわからないため、腫瘍が進行して巨大になるまで見つからないこともあります。
近年ほとんどの家庭犬は去勢手術が実施されます。陰睾の場合も腫瘍になる前に去勢手術をして精巣を2つとも摘出してしまえば、その後の生活は陰睾ではなかった子と全く同じです。
もし家に男の子(犬でも猫でも)がいてまだ去勢手術をしたことがなければ、ちゃんと精巣が二つあるか確認してあげてくださいね。