慢性腎臓病の犬の32%に細菌尿が認められるという報告がフランスからありました。3頭に1頭ですから、通常の認識よりかなり多い印象です。慢性腎臓病では尿が薄くなる結果細菌感染が起きやすくなると言われていますが、それを裏付ける結果です。
膀胱炎では症状が見られることも多い印象ですが、「細菌尿」は必ずしも膀胱炎の症状を示すとは限らず、この報告でもその中で症状が見られたのは8%しかいなかったということでした。
膀胱炎では上行性(尿中を逆流して)に腎臓に感染が波及し、腎障害が悪化するリスクになります。
慢性腎臓病は加齢とともに進行し、数年以上かけて病態が変わっていき、最後は腎不全になります。早い段階で異常(多くは尿比重の長期にわたる低下)を見つけて進行をコントロールすることが不可欠ですが、血液検査だけでなく尿検査も重要であることを改めて裏付ける報告です。細菌の存在外にもタンパクや血液成分の有無も慢性腎臓病のコントロールには非常に重要になります。