未去勢のオス犬が高齢になると起こりやすい病気の一つに、肛門周囲腺腫があります。
雄性ホルモンの影響で起こる病気には「前立腺肥大」「会陰ヘルニア」「肛門周囲腺腫」が多く、これに精巣腫瘍を加えた4つの病気は去勢手術によりほぼ予防することができます(他の原因でなる場合もあるため100%ではありませんが)。
昨今は長寿な犬が増えたため、未避妊のメス犬に見られる「子宮蓄膿症」「膣の平滑筋腫」「乳腺腫瘍」などとともによく見られる疾患になってきており、若齢期に避妊・去勢をしておいたほうがいい理由となります。
肛門周囲腺腫はおしりの周りを中心とした皮膚にしこりができる病気です。良性の腫瘍ですがゆっくり増大します。肛門の横にできることが多いため、ある程度大きくなると床でこすれるなどして傷つけてしまいます。それ自体が痛みや違和感の原因となりますし、室内犬の場合は出血・可能して室内を汚したり、化膿すると悪臭を放つため管理に苦慮することになります。
根本的な治療は全身麻酔下でのしこりの切除と去勢手術です。雄性ホルモンがあるとまたできてしまいますから、同時に去勢手術をすることが必要です。
しかし、こうした加齢に伴うしこりができるのは高齢期のことが多く、心臓や腎臓、肝臓といった重要な臓器の機能が低下していると全身麻酔のリスクが高くなってしまいます。
高齢になってからの不快感を起きないようにしてあげるため、また高齢になってからの麻酔リスクを避けるためにも、健康なうちの避妊手術・去勢手術をおすすめしています。