人では、口腔内の衛生状態が悪化すると唾液や食べ物に細菌が混ざり、それが誤って気管に入る誤嚥性肺炎が起こりやすくなることがわかっています。誤嚥性肺炎で死に至ることもあるための口腔ケアが重要視されています。
そのほか、口腔内の細菌によって糖尿病や肥満、心疾患、リュウマチや認知症まで、悪化したり起こりやすくなったりすることがわかっています。
以前は口腔内の細菌を飲み込んでも胃酸で殺菌されると考えられてきましたが、歯周病菌などは胃酸で死なず、腸に入って腸内細菌の状態を悪化させてしまいます。腸は免疫に重要な働きを持っていますからこれによって免疫力が低下してしまいます。
これらは犬や猫でも同様です。高齢になってから突然の消化器症状や敗血症、肺炎を起こして来院する子がいますが、多くの場合口腔内の環境が悪く、一旦改善してもまた繰り返すこともあります。高齢になってから全身麻酔での口腔内の処置は難しい場合もあるので、若い頃にこまめに手入れをして悪化しないようにしておくといいですね。