犬や猫のワクチン接種を「きちんと」受けていますか?
犬や猫にとって、命にも関わることのあるウイルス疾患から身を守ってくれる「ワクチン」。法律で義務化されているのは犬への狂犬病予防注射ですが、その他にもいわゆる「混合ワクチン」というものがあって、犬では5〜10種類、猫では3〜5種類のウイルス疾患に対するワクチンがあります。このワクチンは、実際に感染するリスク、感染した際のダメージなどを勘案して接種することをおすすめしています。
このワクチン、いちばん大事なのは「子犬/子猫のときに必要な効果が出るようにきちんと接種すること」なのですが、残念ながらその時期にきちんとした接種を受けることができずに過ごしてしまうこともあります。病院へ来たときにはすでにその時期を過ぎてしまっていたり、本当に必要なタイミングで接種を受けていないままになってしまったりするのです。
この幼少期のワクチン接種は数週間単位で必要なものになります。しかし新しく子犬・子猫を家に迎えてバタバタしているとその大事な時期があっという間に過ぎてしまいます。ペットショップやブリーダーさんから迎える際に適切なワクチン接種についてきちんとした説明を受けているといいのですが、実際にはきちんと説明がされていないことが多く、また「ワクチンうってあるからその分も込の値段で」買ったのに、適切な時期の接種ではないためにまだ追加の接種が必要・・・ということもあります。「2回打てばいいからもう終わってます」などという説明を受けている場合もありますが、そもそも子犬・子猫の頃のワクチンは「2回うてばいい」というものではないので注意が必要です。
また、成犬・成猫へのワクチンについても、知らないまま過ごしてしまったり、不要なものを必要以上に接種していたりと、あまりきちんと知られていないままになっています。
当院で推奨しているワクチン接種は
・子犬・子猫は生後16週をすぎるまで、3〜4週おきに2回以上接種する。
・生後1歳で追加接種を1回行う。
・犬ではジステンパー、パルボウイルス、アデノウイルスといった絶対に必要なものと、生活環境によって使い分けるレプトスピラワクチンから選びます。
・猫でヘルペスウイルス、カリシウイルス、汎白血球減少症ウイルスに対するものを接種し、その他のものは原則不要です。
・以後、必要に応じてコアワクチンは3年に一度、レプトスピラは年1回がWASAVAガイドラインで推奨されています。
当院では、何らかの副作用でそれ以上接種間隔をあけたいときには検査センターで「抗体」を測定して、ワクチンの必要性判断の一つの目安としています。