2026.06.09

愛犬の歯、足りないままになっていませんか?

「歯が少ないですね」で終わってしまう前に知ってほしいこと

愛犬の口の中を、じっくり見たことはありますか?

成犬の犬は通常 42本の歯 を持っています。

しかし、特に 小型犬では歯が足りない(先天欠如・未萌出)ことが珍しくありません。

実際、診察中に

「あれ?この歯、足りませんね」

と気づくケースは少なくありません。

そして意外と多いのが、

「今まで何件も動物病院に通っていたけれど、一度も言われたことがない」

というケースです。

これは決して珍しい話ではありません。

小型犬では口が小さく歯並びも複雑なため、見逃されやすいことがあります。また、「小さい犬だからこういうもの」と思われ、そのままになっていることもあります。

ですが、ここで一番大切なのは、

「歯がない」=本当に存在しない、とは限らない

ということです。

見えていないだけで、顎の骨の中に歯が埋まったまま(埋伏歯:まいふくし) になっていることがあります。

外から見ると歯がないように見えるため、飼い主さんも気づかず、診察でも十分に確認されないまま経過してしまうことがあります。

 

 

 

 

 

この子の左側の歯がないこと、気づけますか?

そして、この埋まった歯が後々問題になることがあります。

放置すると「歯原性嚢胞(しげんせいのうほう)」になることがあります

埋伏歯の周囲に、袋状の病変(歯原性嚢胞)ができることがあります。

これがやっかいなのは、

かなり進行するまで症状が出ないことが多い

という点です。

初期にはまったく気づかれず、以下のような症状が出てから見つかることがあります。

  • 顔が腫れる

  • 鼻水が出る

  • 歯ぐきが腫れる

  • 歯の周囲から膿が出る

  • 顎の骨が溶ける

  • 骨が薄くなり、骨折しやすくなる

こうした状態になって初めて見つかることもあります。

しかも、進行すると単純な処置では済まず、

外科的な摘出手術が必要になることもあります。

「もっと早く分かっていれば、もっと小さい処置で済んだのに…」

というケースは実際にあります。

レントゲンを撮らないと分かりません

 

これは上の写真の子の左下顎のレントゲン写真です。犬歯の後ろの歯が斜めに存在しているため、表面まででてくることができずにいます。つまり「あるのに、でてきていない」のです。

ここが一番大事なポイントです。

“歯があるかどうか”は見た目だけでは判断できません。

「本当に歯がない(先天欠如)」のか、

「骨の中に埋まっている」のかは、

歯科レントゲン検査で確認する必要があります。

特に、

  • 小型犬

  • 歯が1本足りない

  • 左右で歯の数が違う

  • 永久歯が生えてこない

  • 乳歯が残っている

このような場合は、一度確認をおすすめします。

若いうちに確認できると安心です

埋伏歯があるかどうかは、若いうちに確認できると理想的です。

ただ、歯科レントゲン検査は通常、じっとして撮影することが難しく、多くの場合は麻酔下で行います。

そのため当院では、生後半年頃の避妊・去勢手術のタイミングで、歯のレントゲン確認をおすすめすることがあります。

せっかく麻酔をかける機会があるなら、その時に

  • 歯の本数は揃っているか

  • 埋まった歯(埋伏歯)がないか

  • 永久歯の生え方に問題がないか

  • 将来的にトラブルになりそうな歯がないか

を一緒に確認しておくと安心だからです。

もちろん、すべての子に問題があるわけではありません。

ですが、

「小さい頃に確認しておけばよかった」

となるケースがあるのも事実です。

特に小型犬では、見た目だけでは分からない歯の異常が隠れていることも少なくありません。

若いうちに確認しておくことは、将来の大きなトラブル予防につながる可能性があります。

「言われたことがないから大丈夫」とは限りません

これまで動物病院で指摘されなかったとしても、問題がないとは限りません。

口の中は嫌がる子も多く、短時間の診察では十分に確認できないこともあります。

だからこそ、

「うちの子、歯が少ないかも?」

と思ったら、そのままにせず、一度確認してみてください。

早めに見つかれば、将来的な大きなトラブルを防げる可能性があります。

「歯が少ない=個性」ではなく、
“確認して初めて安心できる”問題かもしれません。

気になる方は診察時にお気軽にご相談ください。

すぎうらペットクリニック

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